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踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


劇場に着いた俺達は、楽屋に入ることなく、照明の消えたステージに立った。

俺はスマホから手持ちの音楽データを引っ張り出して、それを智に聞かせた。

すると智は困ったように眉尻を思いっ切り下げて、

「この曲で? 俺が? お前と? 踊るって?」

ありえないとばかりに首を横に振った。

だろうね…

だっていつもの智からしたら、あまりにかけ離れたイメージの曲だもん。

でもさ、俺だって明確なプランがあるわけじゃないし、智に比べたら、ダンステクニックだって数段劣るし…

容姿だって、完敗ってわけじゃないけど、智みたいな色気があるって言うか…妖艶さは、残念ながら俺は持ち合わせてない。

でもやると言ったからには、俺も引き下がるつもりは無い。

テクニックや見た目で劣るのなら、俺の土俵に智を乗せてしまえばいい。

「さ、時間ないから、早くリハしちゃお?」

俺は呆然とする智の腕を引き、センターステージの中央に立たせた。

「へぇー、こうして見るとお前ら双子みたいな?(笑)」

ステージ下で、副支配人の雅紀さんが満面の笑みを浮かべて腕組みをする。

「で、どうすんの? 早くしないと他のダンサーのリハ時間がなくなっちゃうんだけど」

「分かってますってばァ、もぉ…。でね、智は…えっと…」

俺は雅紀さんに見えないように舌を出すと、今度は智の方を向いて、

「こんな感じなんだけど、どうかな?」

その場で何となく立てたプロットを掻い摘んで話した。

「分かった。俺、そういうのやったことないから、ちゃんと出来るか分かんねぇけど、お前に合わせるわ」

そう言って智はステージから客席へと飛び降り、一番再後列のシートにドカッと腰を下ろすと、膝と腕を組んだ。

「じゃ、一度踊ってみせてよ」

「う、うん…」

妙な緊張感が漂う中、俺が用意した曲のイントロが流れ始めた。
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