第3章 Collaboration…

｢どう…かな？｣

一通り踊り終え、智の反応を見る。

でも智は依然として困り顔のままで、腕組み、足組みの姿勢を崩すことすらない。

最初っから智が受け入れてくれるとは思ってない。

でもちょっとくらい感想が欲しかったりする。

｢だめ…だった？｣

｢いや…ダメじゃない…と思う。つか、あんま話しかけんな。今覚えたの全部忘れっから…｣

｢えっ…、もう…？｣

俺はステージから飛び降りて、智の座る再後列のシートに駆け寄った。

｢一回しか見てないのに、もう覚えたの？｣

｢まあ…な…。大体流れさえ掴めば後はその場のノリで何とかなんだろ…｣

やっぱ凄いや…

いくら咄嗟の思いつきで付けたフリだとしても、そこまで単純なフリ付けではなかった筈。

なのにそれをたった一回見ただけで覚えちゃうなんて…

それも一種の才能なんじゃないか、って思うと、益々智とのレベルの違いを思い知らされる。

十数人はいるダンサーの中で、ずっとNO.1の座をキープしてきただけはある。

翔さんには悪いけど、こんなちっぽけなステージでストリップなんかしてるの、勿体ないよ。

智ならもっとデカいステージだって夢じゃないのに…

｢おい、そろそろ準備しないと、間に合わないぞ？｣

ぼんやりする俺の肩を、これまた場末のストリップ劇場には到底似つかわしくない笑顔の雅紀さんが叩いた。

｢あ、いっけなーい。智、行こ！｣


楽屋に上がった俺達は、それぞれ顔にメイクを施し、揃い…とまでは行かないまでも、よく似たような衣装を身に着けた。

智はやっぱり困り顔だったけど(笑)


それから数分後…

客入れが始まり、真っ暗だったステージに、煌びやかなスポットライトが灯された。

｢じゃあ…行こうか｣

｢ああ…｣


いよいよ俺達のステージが始まる…