• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


支度を済ませた智と一緒に翔さんの車の後部シートに乗り込んだ俺は、最終確認とばかりに智の額に手を触れた。

うん、熱はない。

「ところで…、リハの時間そう多く取れねぇけど、大丈夫なのか?」

バックミラー越しにサングラスをかけた翔さんの視線が俺達に向けられる。

常に完璧を求める翔さんだから、それが例えば付け焼き刃であったとしても、ステージに立つ以上手抜きは許されない。

それは分かってるんだけどな…

大丈夫か…、と問われれば、胸張って“大丈夫”って言える程の自信は…俺にはない。

俺は返事に困った挙句、隣の智の肘を小突き、翔さんに気付かれないように救いを求めた。

すると智は小さくは息を吐いてから、

「大丈夫なんじゃね…」

と、さも面倒臭そうに呟いたきり、顔ごと視線を窓の外に向けてしまった。

そして翔さんも、

「智がそう言うなら心配することはなさそうだな」

そう言って濃い色のサングラスの向こうで目を細めた。

智に対する絶対的な信頼…なんだろうな。

尤も、そうじゃなかったら、俺が一緒に踊りたい、って言った時だって、あっさり許可したりはしないか。

「あ、でね相談なんだけど、曲と衣装は俺に任せて貰っていい?」

衣装、って言ったって最初にちょろっと着るだけで、後はほぼ素っ裸なんだけどね?

でも折角智と踊れるんだから、特別なステージにしたいんだ。

「ダメ…かなぁ?」

何とかこちらを振り向かせようと袖を引っ張る俺に、智はやっぱり面倒臭そうに、

「別に何でもいいよ…」

窓の外を向いたまま答えた。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp