第3章 Collaboration…
ノートパソコンを閉じ、翔さんがソファーの背もたれに深く凭れる。
そしてタバコの煙を息と一緒に長く吐き出すと、クスリと笑った。
「そうだな…、あんまり気分の良いもんではないな。出来るなら誰にも見せたくないしな?」
そりゃそうだよな…
だってもし俺が翔さんの立場なら、自分の恋人が素っ裸になって、他人の目の前で股おっ広げるなんて…とてもじゃないけど耐えられない。
「でもじゃあどうして…」
「どうして、か…。それは仕事だからじゃねぇか? 仕事は別だ。智は俺の恋人である以前に、大事な商品でもあるんだ。商品は商品らしく扱ってやらねぇとな…? 智だってそれに関しては納得ずくでステージに立ってる筈だぜ?」
短くなったタバコを灰皿に揉み消し、一つ大きな伸びをしてからソファーから立ち上がった。
「さて、と…。そろそろ支度しないと、また智にドヤされる」
冗談ぽく言って肩を竦めた翔さんが、頭をボリボリと掻き毟りながら寝室へと消えて行く。
その時丁度タイミング良くリビングのドアが開いて、頭からバスタオルをすっぽり被った智が入ってきた。
「翔は?」
「翔さんなら着替えに行ったよ。ってかさあ、そんな格好してるとまた熱出るから…」
見れば智は頭に被ったバスタオル以外、何も身に着けていなくて、その白い肌にはまだ水滴が残っている。
「もう…貸して?」
俺は智からバスタオルを引ったくると、身体に付いた水滴を丁寧に拭き取った。
その代わり、頭だけは少々乱暴に拭いてやったけどね?
だって智ってば、あんまりにも自覚無さすぎなんだもん。