• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


翔さんに言われて漸く諦めがついたのか、智はフラフラと立ち上がると、

「シャワーして着替えてくる」

それだけを言い残してリビングを出て行った。

その背中があまりにも悲しそに見えて、

「ねぇ、俺なんか悪いこと言っちゃったかな?」

空になったお皿やマグをシンクに置き、リビングの床にペタンと座った俺は、ローテーブルに両肘を載せて、タバコを吹かし始めた翔さんを見上げた。

でも翔さんは別段気にする風でもなく、

「気にすんな。アイツもいつかは乗り越えなきゃなんねぇんだから。ま、俺としてはこれで売り上げ伸びんなら、願ったり叶ったりなんだがな?」

視線をノートパソコンから上げることなく言った。

“売り上げ”か…

確かにオレ達みたいな仕事はかなり特殊だし、なんならファン層だってある程度限定されるから、必ずしも身入りのいい仕事とは言えない。

それでも競走相手の少ない世界だから、恵まれてるって言ったらそうなのかもしれないけど…

NO.1ダンサーの智と、No.2の俺が組めば確かに話題にはなる。

それはイコール売り上げに繋がる、ってことも分かる。

でもさ、翔さん…

そんな言い方寂しいよ…

俺はともかくとして、智が聞いたらどう思うんだろう…

智のことだから、

『世話んなってんだから、売り上げに貢献すんのは当たり前だろ?』

なんて笑うんだろうか?

そんなのあんまりだよ…

「ねぇ、翔さんはさ智と付き合ってるんでしょ?」

「ん? まあな、少なくとも俺はそう思ってるよ?」

「じゃあさ、智が人前で裸になること、何とも思わないの? その…さ、全部見えちゃうじゃん? 嫌じゃないの?」

俺の問いかけに、それまで流れるようにキーボードの上を滑っていた手が、ピタリと止まった。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp