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踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


俺の提案に、翔さんが飲んでいたコーヒーを吹き出し、智の手からはトーストがポロリと落ちた。

えっ、俺なんか変なこと言った?

「お前…それ…本気で言ってんのか?」

口元をTシャツの裾で拭きながら、翔さんが目を丸くする。

智は…依然として固まったままだ。

「うん、本気だよ。だってその方が智にも負担かからなくていいでしょ?」

それにこんな事でもない限り、智と一緒に踊れる、なんてことないだろうし…

「ま、まあ…それはそうだけど…」

「ね、いいでしょ?」

この際智の意見なんて関係ない。

ここは支配人である翔さんの権限を遺憾無く発揮して欲しい。

「うーん…、そうだな…、やってみるか…」

「やった! それでこそ翔さん!」

ガッツポーズを決める俺。

その反面智はというと…、目を見開いたまま、首をプルプルと振っては、

「俺…やだよ…、無理だって…」

と繰り返すばかり。

智はいつもそうだ、誰かと一緒に踊ることをやたらと嫌がる。

元々人と群れるタイプじゃないってのは分かるんだけど、でもさ…

「よし、ちょっと待ってろ」

翔さんが席を立ち、ローテーブルの上に置かれたノートパソコンを開き、キーボードを嬉々として叩き始めた。

その背中を追いかけるように智も席を立ち、キーボードの上を忙しなく動く翔さんの腕を掴んだ。

「ね…俺、絶対無理…」

今にも泣き出しそうな声で縋った。

でも翔さんはその手を逆に握り返すと、

「手遅れだな。ホームページに告知したし…」

サラッと言い放った。

「そん…な…」

ガックリと肩を落とす智を、超笑顔で見つめる翔さん…

やば…、やっぱこの人鬼だわ…
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