• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


「簡単でごめんな」なんて言いながら、智がコーヒーとトーストをダイニングテーブルに並べる。

本当はサラダも作りたかったみたいだけど、俺が野菜炒めを作るのに、残り野菜全部使ってしまったから、仕方なく諦めた。

三人でテーブルを囲んで手を合わせる。

翔さんも智も、特に会話をするわけではないけど、普段一人で食事をとることが多い俺にとっては、こうして誰かと一緒に…ってのが凄く嬉しい。

「あ、ねぇ、今日のステージ、智は休むんでしょ?」

今朝方まで熱で魘されてたんだ、たった一晩とは言え、それなりに体力も奪われてるだろうし…

なのに智は、

「俺、出るよ…」

トーストを頬張りながら、呆気らかんと言ってのけた。

「えっ、でも無理しない方が…」

「心配すんなって、大丈夫だから」

「でも…」

頑としてステージに出ると言って引かない智に業を煮やした俺は、

「翔さんからも何とか言ってやってよ」

矛先を翔さんに向けた。

流石の智も、劇場支配人の翔さんから言われれば大人しく引き下がる筈…新聞を開いたまま無関心を装う翔さんの手から新聞を取り上げた。

でもさ、智が智なら、翔さんも翔さんでさ…

「智の好きにしろ。その代わり、見苦しいステージだけは見せんなよ?」

って、智の唇の端に着いたバターをペロリと舐めた。

もうこうなると俺が何を言っても無駄で…

「はあ…、分かったよ、もう止めない。だから、今日のステージ、一緒に踊らない?」

マグを掴もうとしていた智の手を握った。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp