第18章 Emotion
「へぇ、智料理なんてするんだね?」
部屋に入るなり、ダイニングテーブルの上の料理に目を向けた潤は、皿の上から肉を一切れゆびで摘むと、それを一口で頬張った。
それニノの分なのに…
「美味いじゃん。今度俺にも作ってよ?」
「あ、うん…。でもお前の口に合うか…」
贅沢を知っている奴には、俺が作った残り物野菜をかき集めただけの料理は、きっと生ゴミ程度にしか写ってないんだろな…。
「あ、そう言えば酷い目に合ったんだって? 光が心配してたよ?」
光…?
ああ、あの運転手の男か…。
アイツ、余計なことを…
「大したことねぇよ…。半日寝たら大分楽になったし…」
「ふーん…、じゃあ見せてよ」
「見せるって、何を…?」
聞かなくって、潤の考えてることくらい、俺にだって分かる。
でも、この薄い壁の向こうにはニノがいる。
だからこそはぐらかそうとしたのに…
「決まってるでしょ? 全部脱いで? それとも…、隣にお友達がいるから嫌?」
俺の考えなんて見通したように、俺の手首を掴み、そのまま寝室へと続くドアに押し付けられた。
「分かってんなら、やめてくれよ…」
「嫌だね。自分で脱げないなら、手伝って上げる」
両手を一纏めに壁に押し付けられ、潤の膝が俺の両足を割り開く。
頬を撫でるた手が首筋を通り、薄いTシャツの上から敏感な部分を探り当てる。
「や…めろ…って…」
「やめないよ? 言うことを聞かない悪い子にはお仕置きが必要だからね?」
「ひっ…」
Tシャツの上から胸の先を捻られ、思わず漏れた声に潤がニヤリと笑う。
「いいの? あんまり大きな声出すと、お友達に声聞かれちゃうよ?」
耳のすぐ近くで囁かれる声が、
「わ、分かったから…、脱ぐから…、もう…やめてくれ…」
俺の最後の砦…理性までもをぶっ壊した。
「くく、最初っからそうすればいいのに…。素直じゃないね、智は…」
手首に巻き付いていた指が解かれ、支えを無くした俺は、ズルズルとその場に崩れた。