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踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


いつの間に眠ってしまったのか、カーテンの隙間から差し込む日差しに飛び起きた俺は、慌てて智の額に手を宛てた。

良かった、熱下がってる。

ホッと息を漏らした時だった、智の長い睫毛がピクッと震えて、瞼がゆっくり開いた。

「おはよう、よく眠れた?」

智に不安を与えないように、額に宛てた手で髪を撫でながら言うと、数回瞬きをしてから、

「俺、どうしたん…だっけ…?」

掠れた声で言った。

きっと自分がどうしてここにいるのかもわかってないんだろうな…

「雨の中で倒れてたのを、翔さんが見つけて、それで…」

「そっか…、俺また…」

智は深い溜息と一緒に言ったきり、また瞼を閉じてしまった。

そのまままた深い眠りにつくと思った俺は、智が目を覚ましたことを翔さんに告げるべく、そっと寝室を出ようとした。

でも、

「ニノ…、俺何か言ってなかった…か…?」

俺を引き止める声がして、俺はゆっくりと振り返ると、潤んだ瞳を揺らす智に向かって、まるで取ってつけたような笑顔を浮かべた。

智にはバレバレだろうけど…

「夢…見てたからさ…。だから…」

「ふーん、どんな夢? 楽しい夢だった?」

そんな筈ないのに…

譫言で繰り返しあの人の名前を呼ぶ声は、とても苦しそうだったのに…

でも俺は敢えて何も聞いてないフリをしてやるんだ。

多分智がそれを望んでいるから…

「うーん…、あんま良く覚えてねぇや…」

「そっか、残念! 思い出したら、教えてね?」

一度は出口に向けた足を再び智の眠るベッド元へ戻し、寝癖の着いた髪を撫でた。
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