• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第3章 Collaboration…


「何か飲む? 喉、乾いたでしょ?」

俺が聞くと、智は小さく頷いて、それからゆっくりと身体を起こした。

「それから着替えもしなきゃね?」

きっと汗で濡れてるだろうから…

智は俺の言葉に頷きだけで返しながら、視線を辺りに巡らせ、

「翔…は? つか、何でニノが…? あ、そう言えば約束…」

今更な疑問をぶつけてきた。

「翔さんにはリビングで寝て貰ったよ。で、俺は翔さんがあまりにもオロオロしてるから、心配になって押しかけた、ってわけ」

実際は、慣れっこになってるのか、翔さんは至って冷静だったけどね。

ただ、智と連絡が取れない、って言った時の翔さんの顔は、普段の翔さんからは想像も出来ないくらい、動揺してた。

気にするだろうから、智には言わないけど…

「そっか…、悪かったな、迷惑かけて…」

「何言ってんの、俺ら友達でしょ?」

多分、今の智が一番心許せる、唯一のね。

「あ、なあ…、今何時?」

「えっと…、丁度七時を回った所かな…」

「いっけね…、そろそろ翔起こさないと…」

「俺が起こして来るから…」

慌ててベッドを出ようとする智を、肩を掴んで引き止める。

でもその手をやんわりと払って智はベッドを抜け出し、覚束無い足取りで寝室を出ると、ソファーで小さく丸まっている翔さんの肩を揺すった。

「翔…、起きて? 仕事、遅れるよ?」

智の声が翔さんの耳に届いたのか、枕替わりにしていた腕を解いて、その腕で智を引き寄せた。

「心配かけさせんじゃねぇよ…」

「…ごめん…」

コツン、と智が翔さんの胸に額を宛てると、瞼を閉じたままの翔さんの顔が、ほんの少しだけ綻んだような気がした。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp