第16章 To a new stage...
ニノとの再会は、思いの外早く訪れた。
潤の自宅からマンションの一室に移った俺を出迎えたのが、他でもないニノだった。
ニノは同居人がいることを知らされていたものの、それが俺だとは思ってなかったみたいで…
俺にしたってまさかそこにニノがいるなんて、全く想像もしてなかったから、二人で顔を見合わせた瞬間、まるで示し合わせたように「どうして?」と、驚きの声を漏らした。
それでもお互い生きて再会出来たことが嬉しくて…
「元気…だったか?」
「智こそ、元気だった?」
ありきたりな言葉を交わし、抱き合って再会の喜びを噛み締めた。
理由なんてどうでも良かった。
ただ会えただけで…、それだけでほんの少しだけ、今のこの現状に救いが見えたような気がしたんだ。
「それにしても、どうしてニノがここに?」
借金のカタだと潤は言っていた。
でもそれだけじゃない、理由はきっと他にもある筈だ。
「うーん、何て言ったらいいのか…、正直俺も良く分かんないんだ。アイツらさ、俺が世話になってた人の店に現れてさ…。それも突然だよ? それで嫌がらせみたいのが続いて…、俺もう我慢できなくなってさ…」
「アイツらって…、あの時の…?」
夏祭りの夜、俺の身体を好き勝手に弄んだアイツらの、あの野獣と化した顔が一瞬脳裏に浮かんで、俺は身震いを感じた身体を自分の両手で抱き締めた。
その様子を見たニノが、咄嗟に俺を腕に抱きとめ、
「ごめん、イヤなこと思い出させちゃったね?」
背中を摩りながら俺に向かって頭を下げた。
ニノが悪いわけじゃないのに…
「あ、何か飲む? それとも…」
「いや、いい…。何もいらねぇ…。それで…? アイツらお前に何て?」
本音を言えば、喉は皮と皮がひっつくくらい、カラカラに乾いていた。
でもそれ以上に、アイツらがニノに何て言ってここへ連れて来たのか…
そして、アイツらと潤との関係が気になって仕方なかった。