第15章 Signs...
雅紀との電話を切った俺は、ズシッと重い身体を起こし、ソファーからデスクへと場所を移した。
PCを立ち上げ、例の店のホームページを開いた。
店の造り同様、ホストクラブかキャバクラかってくらい、ド派手なホームページに、今更ながら辟易とする。
どこをどう探したって、智があの店に関わっていると裏付けるようなことは、書いてある筈ないのに…
それでも俺は、ホームページの隅から隅までくまなく目を通し、それから漸くPCの電源を落とした。
「はあ…」
エグゼクティブチェアに深く背を凭せかけ、深い溜息を一つ落とした。
智…、お前今何してる?
なんだろうな、この気持ち…
俺今、お前にすげぇ会いてぇよ…
いつの間に眠ってしまったのか、乱暴にドアをノックする音に飛び起きた。
「おはよう、よく眠れた? …って、聞くだけ無駄か(笑)」
俺の返事を待たずに支配人室に入って来たのは雅紀だ。
つか、雅紀しかいないか…、俺の許可なくこの部屋に入って来るのは…
あとは…、智くらいのもんだ。
「なんだよ、朝っぱらから…騒々しい…」
すっかり根の生えてしまったエグゼクティブチェアから腰を上げると、余程腰に負担がかかっていたのか、ズキリと痛む腰を叩きながら、緩く締めたままだったネクタイを引き抜いた。
「あのさ、急で悪いんだけどさ、明日一日休み貰えないかな、と思ってさ…。あ、無理ならいいんだ、劇場が今大変な時だからさ…」
「何かあったのか?」
いつもと違う、どこか思い詰めたような表情が気になる。
それに雅紀が公休でもない休みを強請るくらいだから、相応の理由がある筈だ。
「うん、実はさ…、ニノの居所が分かってさ…」
「ニノの?」
「確実にニノかどうかはさ、分かんないんだけど、とりあえず確かめたくてさ…。それにほら、ニノならもしかしたら智のこと、何か知ってるかも知れないしさ…」
確かにニノなら、智とは一番親しくしてたし、智が姿を消した理由を知っているかもしれない。
俺は迷うことなく、雅紀の頼みを受け入れた。