第14章 Separation…
着ていた物を、下着まで全て脱ぎ終えると、俺は潤に背中を向けた。
不思議だな…
あれ程多くの目に晒されても平気だったのに、たった一人…それも潤が見ているかと思うと、何故だか自然と恥ずかしさが込み上げてくる。
別に潤に裸を見られるのが初めて、ってわけでもないのに…
「こっち向いて? ちゃんと見せてよ」
外気に晒された背中にかかる声に、俺はゆっくりと振り返ると、羞恥心に熱くなった顔を背けた。
「フッ…、どうしたの、今更恥ずかしがることでもないでしょ?」
「それは…、そうだけど…」
「それにしても…、相変わらず綺麗な身体だね…?」
言いながら、潤の指が俺の首筋から胸元にかけてスルリと滑り、胸の先をキュッと摘まんだ。
「あっ…」
「それに可愛い声…。感度も良さそうだし…、智ならすぐにNo.1になれそうだ」
俺が…No.1…って、一体どういうことだ…
でもそれを問い質す間なんてなく…
強引なまでの力に手を引かれた俺は、潤の腕に抱きかかえられるように二階への階段を上り、長い廊下の突き当りの一室へと連れていかれた。
シンプルなベッドと簡単な応接セットが置かれただけの部屋は、まるでそこだけ空気が違うような…、寒々さすら感じる一室で、ルーバータイプの窓からは、外の景色を伺い見ることも出来ない。
「ここ…は…?」
ベッドの端に座らされた俺は、不安に揺れる目で、隣に腰を下ろした潤を見上げた。
「元々は客間として使ってた部屋なんだけど、今日から暫くの間智の部屋として使って貰おうかな、って…。どう、気に入った?」
「気に入るも何も俺は…」
この部屋の空気と同じ…つめたい冷たい指先が俺の髪をそっと梳き上げる。
そしてゆっくりとベッドに押し倒された俺は、僅かに睫毛を震わせながら瞼を閉じた。
「ねぇ、言って? 俺を愛してる、って…」
「愛…してる…、潤だけを…」
頬に触れた唇が、俺にまた罪を重ねさせた。