第14章 Separation…
もう何時間こうしているんだろう…
「あっ…、はっ…ぁ…っ…、も…っ…、やだっ…」
翔とは違うリズムで打ち付ける潤の突き上げに、仰け反った身体が悲鳴を上げる。
冷え切っていた身体は汗と精に塗れ、あんなにも寒々としていた部屋の空気はいつしか熱気を帯びていた。
「ダメだよ…、まだだよ…」
時折襲ってくる睡魔に意識が飛びそうになる度、その声に呼び戻された。
もう出すモンなんか一滴も残っちゃいねぇのに…
漸く潤から解放されたのは、長い長い夜が明け、ルーバー窓から朝日が差し込み始めた頃だった。
後処理を済ませ、俯せたままピクリとも動けなくなった俺に布団をかけ、
「シャワールーム、そこだから自由に使って」
それだけを言い残し、潤は部屋を出て行った。
パタンと閉まるドアと、直後に聞こえた金属音に、何があっても流さないと決めていた筈の涙がポロリと零れた。
なんだ…、俺全然信用されてないんじゃん…
鍵なんてかけなくても、俺はどこにも行きやしねぇのに…
悔しいんじゃない、自分が情けなくて…
それから…、翔がいない隣が酷く寂しくて堪らなかった。
今頃翔の奴、必死になって俺のこと探してんだろうな…
靴下の場所、メモしてくれば良かったかな…
アイツ、俺がいなきゃ何も出来ねぇから…
今頃になって、自分がどれだけ深く翔を想っていたのか、思い知らされるなんてな…
俺…、相当バカじゃん…
流れ続ける涙は枕を濡らした。
それでもセックスの後の気怠いような疲労感と、強い睡魔には抗うことは出来ず…
俺は瞼を閉じると、そのまま深い眠りに落ちて行った。
瞼の裏に翔の、あのちょっと癖のある笑顔を思い浮かべながら…
潤はその後も毎晩のように俺を抱いた。
俺が何も考えられず、疲れて眠るまでずっと…
その度に俺は、
「愛してる…、潤だけを…」
偽りの愛を囁き続けた。
心の奥底に、ただ一人翔を想いながら…