第13章 Life…
新しい部屋にも慣れ、翔とも徐々に打ち解けてきた頃、俺は漸く自分のことについて話すことが出来るようになった。
とは言っても、聞かれたことに答えるのが精一杯だったけど…
翔もそれを分かってるから、敢えて俺が答えに困るような質問は投げかけてこない。
好きな食べ物だったり、好きな色…、後は好みのファッションとか?
翔は、付き合いの浅い俺から見ても、若干自意識過剰気味な所があるから、当然のように自分のセンスを疑うことも無く…
ファッションなんて全く興味のない俺から、「ダサい」と言われたことには、流石にショックを受けてたっけ(笑)
そんな他愛もない会話を繰り返すうち、話は俺の家族構成に及び…
そして潤の話に及んだ。
いつかは聞かれると思っていた。
だから覚悟はそれなりにしてたし、最悪ここを出て行けば済むこと…
そもそもこんなに長くここに留まるつもりはなかったから、正直、なんて答えれば良いのか分からなかった。
ただ、翔に対して嘘はつきたくなかった。
俺は瞼が熱くなるのを感じながら、人差し指を天井に向けた。
そして、
「潤はね、アソコにいるんだ」
一言、呟くように言った。
「アソコ…って…?」
当然、翔はそれが何を意味するのか分からず、首を傾げた。
「…天国だよ…。俺が殺したの…、潤を…」
瞬間、翔は目を見開き、俺の頬を堪え切れなかった熱い物が伝った。
翔はそれ以上追求することはなかった。
でもその顔は酷く困惑に満ちていて…
俺を拾ったことに…なのか、それとも聞くべきじゃなかった、と思っているのか…
一見すれば、後悔しているようにも見えた。
終わった…
明日この部屋を出て行こう。
散々世話になっておいて、翔には申し訳ないが、もう終わりにしないと…
こんな関係も…、そして俺の人生も…
そう思った時だった…
翔の腕が俺をフワリと抱きしめ、唐突に唇を塞がれたと思ったん瞬間、俺の身体は真っ黒なラグの上に押し倒されていた。