• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第13章 Life…


新しい部屋にも慣れ、翔とも徐々に打ち解けてきた頃、俺は漸く自分のことについて話すことが出来るようになった。

とは言っても、聞かれたことに答えるのが精一杯だったけど…

翔もそれを分かってるから、敢えて俺が答えに困るような質問は投げかけてこない。

好きな食べ物だったり、好きな色…、後は好みのファッションとか?

翔は、付き合いの浅い俺から見ても、若干自意識過剰気味な所があるから、当然のように自分のセンスを疑うことも無く…

ファッションなんて全く興味のない俺から、「ダサい」と言われたことには、流石にショックを受けてたっけ(笑)

そんな他愛もない会話を繰り返すうち、話は俺の家族構成に及び…

そして潤の話に及んだ。

いつかは聞かれると思っていた。

だから覚悟はそれなりにしてたし、最悪ここを出て行けば済むこと…

そもそもこんなに長くここに留まるつもりはなかったから、正直、なんて答えれば良いのか分からなかった。

ただ、翔に対して嘘はつきたくなかった。

俺は瞼が熱くなるのを感じながら、人差し指を天井に向けた。

そして、

「潤はね、アソコにいるんだ」

一言、呟くように言った。

「アソコ…って…?」

当然、翔はそれが何を意味するのか分からず、首を傾げた。

「…天国だよ…。俺が殺したの…、潤を…」

瞬間、翔は目を見開き、俺の頬を堪え切れなかった熱い物が伝った。

翔はそれ以上追求することはなかった。

でもその顔は酷く困惑に満ちていて…

俺を拾ったことに…なのか、それとも聞くべきじゃなかった、と思っているのか…

一見すれば、後悔しているようにも見えた。


終わった…
明日この部屋を出て行こう。

散々世話になっておいて、翔には申し訳ないが、もう終わりにしないと…

こんな関係も…、そして俺の人生も…

そう思った時だった…

翔の腕が俺をフワリと抱きしめ、唐突に唇を塞がれたと思ったん瞬間、俺の身体は真っ黒なラグの上に押し倒されていた。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp