• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第11章 First contact…


一頻り笑って、潤がソファーの背凭れに深く背中を預ける。

「そ、そんなに笑うことないだろ? これでも俺、真剣に心配したんだから…」

俺のせいじゃないか、って…

真剣に悩んだんだから…

「悪ぃ悪ぃ…。まあでもさ、調子悪かったのは本当かもな? 精神的にちょっとナーバスになってた、っつーか、凹んでた…っつーか…」

手で覆ったままだから、表情は見えないけど、その顔ははとても笑ってるようには見えない。

「それってさ、やっぱ俺の…せい、だよな? マジでごめん…」

俺が潤のプライドを傷つけたから、だから…

俺がもっと早く潤に打ち明けていれば、あんな最悪な形で知られることもなかったんだ。

俺が優柔不断だから…

「悪かった…」

潤の気持ちを考えると、罪悪感しか感じられなかった。

でも潤は、

「もういいよ…。俺も悪かったから…」

顔を覆っていた手を外すと、少し痩せたせいか、薄らと影の出来た顔に苦笑いを浮かた。

「違う、俺が…」

「俺さ、智の才能に嫉妬してたんだ…」

言いかけた俺の言葉を遮るようにして、潤が小さく首を横に振った。

「智は俺にない物を持ってるから…」

「俺…、が…? そんなこと…」

それは俺だって同じだ。

寧ろ俺の方が劣等感の塊みたいになってたのに…

童顔の俺とは違う、目鼻立ちのクッキリとした端正な顔立ち…
スラッと伸びた長い手足…

成績だって、落ちこぼれ寸前の俺に比べて、学年でもトップクラスだし…

考え方一つをとってみたって、全てが適当な俺に比べればずっと大人で…

どれも俺の持っていない物ばかり。

だから少しでも潤に近付きたかったし、一つでもいいから潤より勝る部分が欲しくて…

一緒に踊っていても見劣りしないようにって、俺だって必死だった。

俺だって潤にずっと嫉妬してた。

でもそれを今更言うつもりもないし、この先だって言うつもりはない。

悪いのは、全部俺なんだから…
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp