第2章 Frustrating feeling…
ずぶ濡れの智をベッドに下ろし、俺はバスルームに入った。
冷えた身体を温めてやるために、バスタブに湯を張ると、着ていた物を全て脱いでから寝室へと戻った。
「ほら、取り敢えず風呂入るぞ?」
グッタリとする智を抱き上げ脱衣所に運び、濡れた服を片っ端から剥ぎ取ると、再び智を抱いてバスルームへと入る。
智仕様の温度のシャワーを全身に浴びせかけてやる。
それでも智は目を覚ますことはなく…
溜まりかけた湯に智を抱いたまま浸かった。
「ったく、何やってんだよお前は…」
僅かに開いた口で短い呼吸を繰り返す智の背中を摩ってやると、微かに長い睫毛が震え、少し色の戻った頬を涙が伝った。
俺はそれを唇で吸い取ると、いつもよりも確実に熱い額に自分の額をコツンと当てた。
ヤバいな…、熱あんじゃねぇか…?
これ以上の長風呂は逆効果だと判断した俺は、早々に風呂から上がり、智をバスローブで包んで寝室へと運び、スウェットを着せ付けてから、今度はキッチンへと向かった。
朝出かけたままの状態のシンクから智のマグを探り出し、ポットの湯を注いでからそこにスポーツドリンクを足した。
「ほら、これ飲め…」
背中を支えるようにして上体を抱き起こし、マグを口に運んでやる。
すると智の喉が二度三度コクンと鳴った。
「もう少し飲めるか?」
耳元に口を寄せ聞くと、智が小さく首を横に振って、フッと息を吐き出した。
「ごめ…、め…わく…かけて…」
意識があるのかないのか、智は俺の手を握ると、瞼を数回震わせた。
「いいからもう寝ろ」
うん、と頷く智に布団をかけ、深い眠りについたのを確認してから、俺はリビングへと入った。