• テキストサイズ

【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第7章 ワナにハマった俺のせい?






────────────────
─────────




「……ジャン、起きて。」




ふわふわ。

ゆらゆら。



暖かいものを感じる微かな意識の中で。

声が聞こえてくる。



……んだよ。

今、すげぇ気持ちいいのに。

邪魔すんじゃねぇ。



そんな気持ちで顔を歪めると、今度は肩の辺りを軽く叩かれた。



「ジャン。ホラ、朝だよ。」



落ち着くような、ソワソワしてしまうような。

その声の主を、瞬時に認識して、俺は軽く頷く。



「……ん。」



今、俺の腕の中にいるのは、美咲だろ。

分かってるよ。

分かってるから、こんなにも暖かくて、落ち着くんだよな。



意識がぼんやりとまだ覚醒しないまま、何度も頷く。

が、今度は胸の辺りを強く叩かれた。



「ジャンー!」



美咲の声が、俺を呼ぶ。

何だか少しばかり愉快そうに聞こえちまうのは、気のせいだろうか。



……あーもぅ。
うるっせぇな。

分かったよ。
起きりゃーいいんだろ、起きりゃ。



ゆっくり瞼を持ち上げて、顔を上げると。
至近距離には、愛しい女の顔があって。



「……起きた?」



……それでいて、覗き込むような事されりゃ、さ。



ちゅ。



キスのひとつくらい、したくなるっつーもんだろ。普通。



まだハッキリと働かない頭で、美咲を見つめる。

呆然としている彼女に、俺は苦笑した。



「……お前、目くらい閉じろよ。」



窓から差し込む太陽の灯りから察するに、かなり早い時間ではある。

このまま情事まで持ち込んでもいいんだが、生憎部屋に戻らねぇと後が厄介だ。

規律がどうだ、とかな。

恋人同士なら許されるんだろうが。



残念に思いながらも一度だけ、美咲の頭を撫でて、ベッドを抜け出す。

伸びをすれば、気持ちばかりか、脳に酸素が行き渡っていく気がした。



もう一度、触れたくなって、美咲の頭に手を乗せる。



「起こしてくれてありがとな。じゃ、あとで。」



それだけ言って部屋を出ようとした、ら。



「ま、待って!」



背中に飛んできたのは、慌てるような、美咲の声。

振り返ると、何故か口ごもっている。

/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp