第7章 ワナにハマった俺のせい?
その瞳の奥にある意味を知ろうと、見つめ返しても、何も読み取れなかった。
不思議そうに、それでいて先程とは違い、物怖じする事もなく、まっすぐ見つめ返してくる美咲。
何でそんな無防備にこっち見てくんだよ。
お前、気付いてねぇだろ?
今ちょっとだけ、口開いてんだよ。
……キスでもしてやろうか?
って、それじゃ、さっき取り戻した空気が台無しじゃねぇか。
クソッ。訳分かんねぇ。
心の中で悪態をついてみても、全く意味がない。
まじまじと見つめ合い、絡まり合う二人の視線。
耐えきれなくなったのは、
俺の方だった。
ただ無言で見つめ合うこの感じが、何つーか……、
あぁ、無理だろコレ。恥ずかしすぎる。
未だに俺から視線を外さない美咲に、なんかムカついてきて。
目を細めて、意地の悪い笑みを浮かべ、彼女に卑猥な言葉を投げつける。
案の定、石像のように固まってしまった美咲に、俺は笑った。
お前がじっと見てくるからだ、バーカ。
その視線ひとつで、俺は、俺じゃいられなくなっちまうんだよ……
……バーカ。
からかわれたと思ったのか、美咲は昨日のように、美味しそうにパンを食べ始める。
俺も同じように、パン食って、水飲んで。
バカな事話して、からかって。
隣で過ごす夜は、あっという間に過ぎた。