第7章 ワナにハマった俺のせい?
こうもうまく事が運ぶと、うきうきするのも無理はねぇわけで。
俺は逸る気持ちを押さえ込んで、彼女の部屋へと足を運ぶ。
コンコン。
小さなノック音の後、反応を聞かないまま、昨日と同じようにドアを開けた俺に。
真っ先に飛んで来たのは、こんな台詞。
「……本当に来る?普通……。」
頬を引きつらせながら。オマケ付きで。
これが俺の片想いの相手だっつーんだから、泣ける。
まぁコイツは、俺がミカサの事をまだ好きだと思ってるんだから仕方のねぇ話なんだが。
昨夜あんなに、身体を求めた間柄だと言うのに、変な話だ。
取り敢えずは、だ。
気にしないフリをして、昨日のように二人分の食料を美咲に手渡した。
「行くっつったら、来るだろ。普通は。」
「そうじゃなくて、さぁ……。」
ブツブツ文句を言いながら部屋へと戻る彼女の背中を見て、ぼんやりと思う。
どう見たって不満げで、どう受け取ったって迷惑そうで。
なのに俺を招き入れてくれる美咲は、一体どんな心境なんだろう。
弱味を握られているから?
ヘタな事が、出来ないから?
逆らえないから?
だとしたら、俺の目論見は成功していると言える。
……が、本当にそれだけだったら、まぁ。
やっぱ、寂しいもんだな。
ジャケットを脱いで、ハンガーに掛け、昨日と同じようにベッドに座った俺の前。
全部屋共通の机に、俺から受け取った袋の中身を、ガサガサ漁っている彼女の隙間から見えたのは、二人分のコップ。
……驚いた。一応は、用意してくれてたんだな。
飛び上りたくなるような衝動もあるが、ここでそんな事やっても、とうとう頭がおかしくなってしまったと思われるのがオチだ。