第6章 別人なアイツに捕らわれた私
ガッチリと。
離さねぇ。とでも主張する腕が、少しだけ痛い。
「ッ……な、何?!」
「何って、ナニしようかと?」
「はぁ!?」
酔っ払ってもいないくせに、なにを言いだすんだ、この男は!!!
思い切り眉を寄せて睨みつけても、ジャンは全くもって、平気そうだ。
「今朝、言っただろ?今日もしような、って。」
「ばッ、……は?しないわよ!何言ってんの!!」
私の言葉に、ジャンはキョトンとした。
「しねぇの?」
「しない!」
勿論、即答。
だって、今日の時間を設けたのは、ずるずる弱味を引きずられるのが嫌だったから、仕方なくこうなった原因を、確かめてるだけで。
ジャンには大人な対応をお願いして、スッキリ終わらせるのが目的だというのに。
なんでまた、頭痛の種を、自ら撒かなきゃいけないのか。
私の話しを聞いているのかいないのか、ジャンは、
ズイ。
顔を近付けてくる。
そして、口の端を持ち上げて、笑った。
「あーんなに最高だったのに、か?」
「ッ……!!!」
クツクツと笑うジャンの目の色は、少しずつ変わって来ていた。
それに気付きながらも、私は抵抗を、辞めなかった。
「相性、いいと思うぜ、俺達。美咲の身体、スゲェぴったり。」
「な……何、言って……!」
「気付いてんだろ?」
「知らな、い!!!」
きっと私は、真っ赤になってると思う。
心臓がドキドキして、今にも爆発してしまい、そう。
そう自覚しながらも、私はジャンの言葉に、真っ向から歯向かうことをやめなかった。
折れたら、食われる。
ジャンの瞳にギラリと宿るその欲が、私の頭で警報を鳴らす。