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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第6章 別人なアイツに捕らわれた私





「……でもさ、ジャン。」

「何だ?」



パンを口に運ぶジャンに、今度は私から攻撃を始める。


「ジャンは、訓練兵の時からずっとミカサの事が好きだったでしょ?しかも給金が入ったら、美人が集まる娼婦のところにも行けるわけだし、わざわざ私なんかに手を出さなくても良かったんじゃないの?」



そう。
そうなんだ。

今日、フと思い付いた事。


“わざわざ”手を出したジャンだって、共犯に違いない。

しかも、キスを仕掛けて来たのはジャンだと言うし。

私はやっとここでジャンに一矢報いる事が出来た、ような、気がする。


「確かに、そこまで困っちゃいねぇが、セックスに否定的だった女が“わざわざ”潤んだ目で誘ってくれたんだし?お受けしねぇと失礼だと思って、な?」


にっこり、笑いながら酷い台詞を吐く男。
しかも『わざわざ』を、強調して言いやがった。



言い返せずに、私は唇を噛みしめる。



だから、顔と言葉があってないんだってば!
ああもう、ムカつく!



私は手にしていた飲み物を、勢い任せに、一気に飲んだ。
食べて、飲んで、寝て、忘れよう!


隣にいたジャンは、どっから持って来たのか、グラスに水をついで、チビチビ飲んでいる。

空になったグラスに、また水を注ぐジャンの姿をぼんやりと見た。



コイツが私の部屋に上がり込んだスムーズさも、アルミンの本でいつの間にか馴染んでしまった状況も、パンを半分に分けて食べるなんて私のツボを刺激する事も、あまりにもスマートで。

もしこれが好きな人だったら、「よく出来たやつだ!」と褒めてやりたいと、思った。



が。相手はジャンだ。



「あんたって気が効くし、頭の回転も早いし、将来モテそうよねぇ。ソツないっていうか。…………ホント、胡散臭いわ。」

「は?それって褒めてんのか?貶してんのか?」

「一般的には、褒め言葉よ。」



隣を見ないで私は小さくなったパンを食べた。



モグモグと口を動かす私を見て、ジャンは吹き出した。



「ハハッ!!ほんっと、美咲って面白ぇ!」

「……どこが。」

「そういうとこ。」



ジャンの様子を伺うと、楽しそうに笑っていて。
私はお腹一杯になって、パンの袋を片付けて、再びジャンの隣に座った。



が、

何故か私の手はジャンによって、掴まれた。


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