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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第6章 別人なアイツに捕らわれた私






「ちょ、!?」



引き寄せたられた身体。

ジャンはキツく抱き締めると同時に、すりすりと髪に顔を埋め、まるで、縋るように、キツく抱き締めている腕に、力を込める。

何だかその仕草に、ドキドキと止まらなくなる鼓動。



「…悪い。」



今度は急に距離を取ったと思ったら、はにかむように笑った。



「まぁ。味気ねぇけど、腹減ったし。飯食うか。」



何もなかったように。

落ちた袋を拾うジャン。



何でさっき抱き締めて来たの?
その前……何で小さい声で、私の名前を呼んだの?



ジャンはもう、いつも通りに戻っていて、聞きそびれてしまった。

ジャンが食料袋から出して来たのは一つのパン。



「……?何で一人一個じゃないの?」

「誰かと同じモン食った方が、美味いだろ。」



疑問で返すと、聞き覚えがあるような言葉で。

確か、ヒストリアと部屋で御飯食べる時は、いっつも半分個しながら、ちょっとずつ食べてたんだっけ。

なんて、思い出していた。


つい、この前にも思えるけど、いなくなるのはやっぱり寂しくて。

まさか彼女とは似ても似つかいジャンの口から、そんな言葉が出るのがおかしくて。

私は、フ。と、笑った。



「それもそうだね。」



ジャンから半分のパンを受け取り、思い切り口に含む。

お腹が空いているのと、いつもは一人ぼっちの部屋で、しんみりしながら御飯食べてたから、少しだけやっぱり美味しく思えた。



ジャンも中々良いこと言うやつなんだなぁ。

訓練兵の時から胡散臭そうな雰囲気があったし、自己主張が強過ぎてあんまり関わらないようにしてたんだけど。

本当はいいヤツなのかも知れない。

変に避けちゃって、ろくに話す事なく調査兵団に入団したけど、今後は普通にやっていけそうな気がする。




……って言うか。
やっぱり、朝食抜きはマズかったかな。

お腹空いた。


私が二つ目のパンに手を伸ばそうとしていると、不機嫌そうなジャンの声が聞こえた。



「……で、美咲。」

「ん?」



二つ目のパンも半分に千切り、ジャンはまだ食べ掛けだったから、パン袋に直す。



ジャンの方を振り返ると、優しそうに笑っていた。



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