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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第6章 別人なアイツに捕らわれた私





ひとつ、大きく深呼吸して。
正面にいるサシャにチラリと目をやる。



相変わらず、幸せそうにパンを頬張る姿。

なんだか、和むなぁ……
そんなに美味しそうに食べられると、私もパン、食べたくなってきたな。



なんて呑気に思っていた私の隣に、まさかのまさか。
ヤツが腰を下ろした。



「つれねぇな。可愛かったのに。この前は。」



……イラッ。



ガヤガヤうるさい食堂の中。
小さく呟かれた声は、私に対するもので。

引き攣る頬を自覚しながら、湧き上がる苛立ちを抑え、私はジャンを無視する事に決めた。



いつものペースを取り戻しつつあったのに、パンを口に運ぶ手が、震えるのは仕方がない。

朝食さえ乗り切れば、特別に近い距離で何かするわけでもないんだし。



なのに、追撃するかのようなジャンの一言。



ヤツは、言ったのだ。



サシャの前に置かれた、飲み物を取る振りをして、私に。

耳元で。



「今日も、しよう。な、美咲。」



ガタン!



反射的に立ち上がってしまった事に、サシャがビックリして、パンを落としそうになっている。



「ご、ごめん……。」



小さく謝って、すとんと椅子に座り直す。
隣の男は、肩を震わせて、笑いを耐えている様子だ。



……コイツ、本当に信じらんない!



イライラし過ぎて、動揺し過ぎて、平静を保てない。
私は、体勢を立て直す為に、席を立った。



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