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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第5章 ※ワナを仕掛けた俺のせい?





パリっ、としたYシャツの上。
黒いジャケットを羽織ったリヴァイ兵長は、男の俺の目から見てもやっぱり、様になっている綺麗さで。



人類最強の強さを持つ、アイツの、憧れのヒト。



……最悪だ。
なんでまたこんなタイミングで。



ドロ、ドロ、と。
自分の中の汚い欲で、息が出来なく、なりそうだ。

別に、リヴァイ兵長に今何かを抱いても。
仕方がねぇとは分かっては、いる。

……が、渦巻く嫌な感情はなんなんだ?



「……昨日の女は、なじみか?」

「は?」



口が開けないでいた俺に投げかけられたのは、少しばかり疑問が残る問い掛けで。

我ながら間の抜けた声が、出たと、思う。



「……いや、時になにもない。同期です。」



何もないわけはない。

……ただの同期、なんかでも、ない。



だが、それを何故か、悟られたくはない俺がいて。



目の前の人に、苦々しいモヤが心を覆っていく。

リヴァイ兵長の瞳に見つけた、鋭く光る好意が、そのモヤを後押しする。



「……そうか。さっき帰った来たようだから。安心しろ。」

「?!」



ドクン。

大きく、嫌な音がした。



俺の考えている事を見透かしているような、リヴァイ兵長の言葉に、息を飲む。

兵長の顔が余裕そうに見えるのは、多分。
俺が今、ギリギリの状況だから。



踵を返し、俺に背を向け、歩き出した兵長に。
無理矢理、笑った。



「すみません。朝まで付き添ってはいたんですが、迷惑掛けちまったみたいで。」

「…………。」



カツカツと遠くなっていくはずだった音が、一瞬、止まり。

少しばかりの静寂の中。



「……そうか。」



小さく、聞こえた。



朝まで。と添えた俺の心理を、多分。
この人は分かっている。



これは、俺なりの、戦線布告。



正攻法じゃ敵わねぇ相手への、歪んだ攻撃だ。



美咲に。

俺に。

そして……



リヴァイ兵士長への。



今出来る、僅かな足掻きだった。



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