第5章 ※ワナを仕掛けた俺のせい?
[ジャンside]
今日が、久しぶりの兵団の休日と被っていて、良かった。
昼過ぎに兵舎へと辿り着いた俺は、そのままの足で、陽が落ちた今の今まで、ベッドに転がり込んでいた。
目を瞑ると浮かんで来るのは、やっぱり美咲の顔で。
笑ったり。
怒ったり。
青ざめたり。
……誘ってきたり。
美咲に、また明日。
なんて言ったのは、時間を与える為。
考える時間。
今日なんか、休みだし。特別何もするも事ねぇから。
イヤでも俺の事、考えるだろ?
何て思っていた俺の耳に入って来たのは、慌ただしいドアを叩く音。
ドンドン。と同時に震えるドアと。
「ジャン、美咲見てねぇか?昨日、帰りに一緒いただろ?」
コニーの声。
俺は慌てて起き上がり、返答を待つ自室の扉を開けた。
目の前には少しだけソワソワとしたコニー。
何があったんだ?と、聞く前に、さっきの言葉でなんとなく意味は理解していて。
明らかに動揺している自分を隠せないままに、俺はコニーを押して、部屋を飛び出した。
後ろから呼ぶ声がしたけど、聞こえねぇまんまで。
まさか、帰って来てねぇのか?
俺のせいで?
もつれそうになる足と、焦る気持ちを抑え、ピタリ。
足を止めた。
……俺が今。
行って、どうなる。
あいつに堕ちたのは俺の方で。
そして、あいつを引きずり込むと決めたのも、俺だ。
昨日の夜の事を、もう、なかった事には出来ねぇし。
何に変えても、手に入れたいと、思った。
「そんなとこに突っ立って、何をしてる。」
正面から聞こえた低音に、ハッとして顔を上げると。
壁に寄りかかって俺を見つめている……
リヴァイ兵士長が、いた。