第1章 ※それは月夜の酔いのせい?
その好奇心をくすぶらせたまま、肩を貸す俺に、美咲は凄ぇ嫌そうな顔をした。
思わず苦笑いが込み上げる。
一応、肩貸してやってんだぞ?
オメーが間違えて酒なんか飲んでっから、後ろのリヴァイ兵長やハンジ分隊長の視線が痛えのなんの。
けど、俺には分かっちまった。
兵長の見る目は、兵士を心配しているんじゃねぇってこと。
他の誰も気付いていない、
密かに含まれた、“好意”の目。
公私混同しない兵長の態度は完璧だった。
なのに、俺にはハッキリと分かっちまった。
兵長も、美咲の事を、気に入っている、と。
俺と美咲の関係は、ただの同期。
それで十分だと思っていたが……
妙にモヤモヤした何かが胸に渦巻いて、気分が悪かった。
極端に言うと、ムカついちまった。
……何に?
今となればその答えは明白だが、その時の俺は大した問題にしねぇまま、美咲なんかが兵長に?なんて不調和音が面白くねぇだけだ、と結論づけた。