第4章 暴君なアイツと混乱のワタシ
「な……何で、そんな事……?」
小さく、唇が震える。
確かに、ジャンの言う通り。
私は今まで誰とも身体を重ねた事がない、わけで。
その前に、ろくに恋愛もした事がなくて。
同期の中には、そりゃ、もちろん……
既に済んだ事がある人が多いけど、私にはまだまだ先だと思ってて。
けれど。
ジャンにそんな話し、した事ない。
するような間柄でも、ない。
一体なんでそんな話しを……と、考えてみても、思い当たる事がない。
青ざめる私に、意地悪な笑みを浮かべたままのジャンは言う。
「お前が処女だったなんて話し、誰から聞いたんだっけなぁ?」
「ッな、何……そ、れ。」
「俺等の年代のやつは、みーんなスキだからなぁ。そういう話し。」
「みんな、って……ッ、う、嘘、でしょ……?」
みんなって、みんな?
104期?それとも……調査兵、団?
私のそんな話し、どうして、何で……?
ま……
まさか、リヴァイ兵長も……、知ってる?
ぐるぐる回る疑問と恐怖で、青くなった顔から、更に血が引いて。
今度は白くなっていっている気さえ、した。
瞬間。
「ッ、ははは、ははっ!!」
「?!」
ジャンが突然、弾けたように笑い出した。
いきなりの大きな声に、ビクリとした後、私にはジャンがどうして笑っているのか、全然分からなくて。ポカンとした顔のまま。
なんとか、と言った感じで息を整えたジャンは、私の頭をクシャリ。
撫でた。
「ははッ……はぁー。面白れぇな、お前。」
「……な、何が?」
「みんな知ってるなんか、嘘に決まってんだろ、バーカ。」
「ッ!!!」
からかわれた。完全に。
今の状況と、その事実。ハッキリと認識した瞬間、耐え切れなかった怒りが湧き上がる。
「ふざけないでよ!!」
「何だぁ?」
「ッ……、あ、んたねぇ!!!」
言っていい事と、悪い事、あるでしょ!?
……そう叫ぼうとした私の唇を、ジャンの唇が塞いだ。