第4章 暴君なアイツと混乱のワタシ
「ッ!?きゃぁああぁあ!!!」
「!!!な、何だ?!」
突然の大音量に、すやすや眠っていたジャンが起きる。と、同時に何故か、私を抱き締めている腕に力を込めた。
肌と肌が密着する温度、つまりそれは、私は何も、服を身に着けていないわけで。
頭が混乱し過ぎて何が起こっているのか、分からない。
「いや──!!何なのッ、離してよ!!!」
「ちょ、うるせぇバカ!!」
「ん……!!!」
大きな手で、思い切り口を塞がれた。
ジタバタと暴れようにも、力の差は歴然で。
身体ごと、ジャンに捕らわれている状態になってしまう。
「んん───!!!」
「デカい声出すんじゃねぇ!近所の事も考えろバカ!!」
「んんん─────!!!」
バカ、バカ、って、なんなんだ!!!
抗議の声を上げようにも、ジャンの手に阻まれて、叶わない。
それどころか、更にキツく、強く抱き寄せてくる。
「んん────!!!」
「うるっせえな、大人しくするんなら離してやるよ!」
「ん、ふ?!」
息苦しさを感じながらも、その提案に反応すると。
頭の上から、深い溜息が落ちて来た。
「……お前。その様子じゃ、何も覚えてねぇとか言うんだろ?」
「ふ……ぅ?」
全くもって、その通り、だ。
でも、私とは違って、ジャンは“何が起こった”のかを、覚えている、らしい。
「……お前が静かにするんなら説明してやる。どうする?」
「うぅ……。」
拒否権は、ない。
私は渋々と頭を小さくコクリと動かし、暴れようとしていた身体の力を抜いた。
するとジャンは、「……よし。」と呟いて、私の身体を反転させる。