第4章 暴君なアイツと混乱のワタシ
[美咲side]
チュンチュン。
……ん、んー…?
うっすらと取り戻してきた意識を手繰り寄せ、目を擦ろうと身体を捩るが、手が上手く動かない。
……ん、もぉ……何……?
どうやら、何かに身体の動きを阻まれているみたいだ。
私はまだ開かない瞼のまま、眉間にシワを作り、そのナニかを退かせようとする。
……その時。
「……ん。」
耳に入って来た自分ではない、女性でもない、“誰か”の声に、私は急速に正気を取り戻していく。
い、いま……
なんか、聞こえ、た……
そう、脳がハッキリと認識した瞬間と同時に、反射的に目を開いた。
視界に飛び込んで来たのは、肌。
男性の……胸板。
「ひッ……?!」
だ、誰っ?!
って言うか、何?!
何なのこの状況!!
訳が分からず混乱しながら、その身体の主を確かめようと顔を上げて、息を飲んだ。
「ッ……!?」
な、
なん、で、
ジャン……?
働かない頭のまま、とにかくこの密着度をなんとかしたくて。
もぞもぞと動いて、ようやくジャンに背中を向ける事に成功した。
……が、そこで、ハッと気付く。
触れているジャンと私の温度が、おかしい事に。
恐る恐る、自分の胸元に手を当てて……