第3章 酔いが覚めたら誰のせい?
……だが。
今は、感傷に浸っている場合じゃない。
考えろ。
考えろ。
頭は、キレる方だから。
どうしたらこのまま、コイツを縛り付けて置けれる?
誰かに……
リヴァイ兵長に。奪われずに、済む?
…………リヴァイ、兵長?
そこでフと、思い浮かんだ、恋敵の姿。
身長がどうこうは置いといて、綺麗な目鼻立ちに整った顔付き、人類最強と謳われるあの人は、男の俺から見てもそりゃあ、カッコ良くて……
美咲の“憧れのヒト”
獲物を狩る捕食者のような鋭く光る三白眼の、その姿と共に、一つ浮かんだ、案。
名案なんかじゃねぇ。
むしろ……クソみてぇに、最低の、手段。
だが今は、これしか……思い浮ばなくて。
生まれて初めての執着心が、去ってくれる気配も、ない。
戻るなら、今。
……今?
いや、もう。
……遅いだろ。
俺はもう、何も知らないままじゃない。
何も知らないままじゃいられなくなっちまったんだ。
お前の表情。仕草。声。体温。白い身体を。
知ってしまったから……。
一旦離したら、お前は…………
迷いを振り切るように、強く目を瞑って。
ゆっくりと開いた。
「……美咲。」
返事をしない彼女の額に口付けを落とすと。
柔らかいシャンプーの香りが、ギリギリで壊れてしまいそうな俺のココロを、優しく包む。
まだ少し残ったままの迷いを、その香りで搔き消して。
決意を固めるように、小さく呟いた。
「……お前は、俺の、だ。」
憎まれても、恨まれても。
美咲が俺の腕の中にいてくれるなら。
それが、どんな手段になっちまっても、俺は選ぶ。
……ごめんな。
お前の幸せを祈って、身を引く。
なんて。
大人じみた真似が、出来なくて。
……ごめんな。
……美咲。
どうしても、お前が、欲しい。