第3章 酔いが覚めたら誰のせい?
ソッと、美咲の頭の下に腕を滑り込ませ、ゆっくりと抱き寄せた。
「……ん、」
淡い吐息と共に身をよじる美咲を、優しく、抱き締める。
一体何と勘違いしてんだか。
眠ったままの彼女は、俺の胸にすりすりと頬を寄せ、幸せそうに微笑みを見せた。
つい、何度目かも分からなくなっちまった、溜息が出る。
深く深く息を吐き、短く吸う。
「……クッソ。お前……なぁ。」
そんな可愛い仕草、すんじゃねぇよ。
普段と違い過ぎるだろ。
……だから余計に可愛いのかも知んねぇけど。
髪を、グシャグシャと掻きむしりたい欲が湧くが、今の俺の両手は美咲を包み込んでいる訳で。それが、敵わない。
まるで、割れ物でも扱うような手で。
こんなにも恐る恐る、女に触れるのは、勿論初めての事で。
コイツが……
美咲が、俺を、オカシク、していく。
肌に伝う美咲の体温は心地いいのに、俺達の間にある溝が埋まらない事が、悔しくて、辛かった。