第3章 酔いが覚めたら誰のせい?
……美咲が目を、冷ましたら。
俺の夢が、覚めたら。
俺の腕の中で、何も着てねぇような今の状態を認識したら。
お前は、どんな反応を見せるんだろう。
そして、俺は。
……その時、お前にどういう態度を取ればいいのだろう。
例えば俺が一言。
「好きだ」
と、言ったら?
美咲はどんな言葉を返すか……
いや、これは考えるまでもねぇ、か。
また一つ、今度は深く、息を吐く。
今までの俺の態度を考えれば、すぐに予測は出来たからだ。
多分。
眉間にすげぇ、シワ寄せて。
鋭い目で、本気で聞き返してくるだろう。
『何、言ってるの?』
そこに、「ミカサは?」なんて付けられたりして、な。
再び溜息が漏れる。
どう考えたって、コイツには正攻法で敵う気がしない。
……コイツ、と、言うより。
リヴァイ兵士長に。
そもそもコイツ、俺の事を男として全く意識してねぇもんなぁ……。
同じ調査兵団の、ただの同期、ってくらいだろ。どうせ。
それに加えて、力尽くで身体……しかも初めてを奪ったときたもんだ。
こんな状況で、正直にぶつかっても、上手くいくはず、ねぇだろ……。
そんな現実を思うと、ついさっきまで俺達を包んでいたはずの、甘くてとろけるような時間が、夢か幻だったようにさえ、感じる。
そんくらい、俺と美咲の距離は、遠過ぎた。