第20章 ※アイツと私の特別な休日
「あ……そっか。ジャンも買いに来たの?」
「お前は何してんだ?」
「あ、うん。モブリットさんにハンジ分隊長のご飯、頼まれちゃって。あの人達今忙しいでしょ?……それで、ジャンに教えて貰ったお店にハンジさん達の分も買いに来たの。」
「すげぇ種類あっただろ?経営者がホントにパン好きなんだなってくらい。」
「そーだね!間違いなく。」
見たことのないシェフの姿を想像して、クスクス笑う。
そこで私は、はたと気付く。
「荷物ありがとう。自分で持てるから。」
「あ?何だよ、急に。」
「だって、ジャンもその量じゃ、コニー達のとこにいくんでしょ?私は大丈夫だから早く行きなよ。」
ほら、と言いながら手を差し出す。
ジャンの手にあるハンジさん達の食料を引き取る為だ。
なのに、ジャンは。
「……今日の飯、誰と食うんだ?」
「は?」
何言ってるんだろう、コイツ。
答えることなく質問を重ねて来たジャンが、眉を寄せた私の手を取った。
「えっ、ちょっと……、」
「これだけ食いモンがあるなら、買い足す必要もねぇだろ。」
「は?!ちょ、ちょっとジャン??」
奪われた私の右手は、ジャンにがっちりと掴まれている。
そのままジャンが歩き出すもんだから、自然と私もそれに連れて行く形になってしまう。
「ちょっと、ジャン?コニーは?」
「んー?」
「何よそれ、あんた何の為に街まで降りて来てたの!」
そこまで言うと、ジャンは立ち止まって振り返った。
途端、フワリと笑って、掴んだ手を指先でスルリと撫でる。
不本意にもぞくりと駆け上がる何かを感じた私の反応を楽しげに見てから、言った。
「飯、一緒に食おうぜ。お前の部屋で。」
こうなった"オレ様"に私なんかが敵うはずなく。
私はそのまま、手を引かれて宿舎へと戻る羽目になった。