第20章 ※アイツと私の特別な休日
ちょうど宿舎へと着いたところで、何とか手を離してもらい、ハンジさん達の分の食料も両手一杯に持った私は、兵舎の入り口でちょうどモブリットさんに出くわした。
「あぁ、美咲!買い物大変だっただろう?お金は足りたかな?」
「はい!自分のものまで買っちゃいました。」
「そんな事気にしなくていいよ。なら、これは受けとっておくから、ウォール・マリア奪還まではゆっくりな。」
「はい、お疲れ様です。」
少しばかりか痩せたようにも見えるモブリットさんから離れ、自室に向かう。
ジャンは当然先に着いているだろう。
準備なんかしてくれてたらありがたい、と思いながら自室のドアを開けようとしたら、ドアの外から小さく鼻唄が聞こえた。
パタリ。
扉を開けて、食料と飲み物の準備をするジャンを横目にブーツを脱ぐ
「……なんか、変にご機嫌そうね。」
その問いにジャンはぶっきらぼうに答えた。
頭を掻きむしりながら。
私は今ベッドで並んで、さっきのお店で買ったサンドをジャンと分けている。
もちろんここは私の部屋だ。
兵団の活動が何もない、日暮れどき。
元から質素ではあるけど、普段より片付いた部屋で、気に入っているパンとくつろげる時間。
ひとり、まったり過ごそうと思っていたのに。
「あ、美咲、俺も飲み物。」
「……はいはい。」
現実は、これだ。
何故か私の素敵な休日には"オレ様"がズカズカと侵入していらっしゃる。
何だかなぁ。
ジャン相手だと、自分のペースでいられない。
それどころか、何をするも、ジャンに上手く操られているような気さえする。
……気のせいだと。いいんだけど。