第19章 ※特別な休みはお前のせい?
飯を食い終わった後は、またお互いの肌に触れ合う時間を過ごし、さすがに疲れた俺は、ベッドにそのまま寝そべったまま、ゆっくりと瞼を閉じた。
じわじわと睡魔が襲ってくるのを感じる。
「……このまま寝ちまいそう。」
何気なく呟いた俺に、美咲は「いや」と言って振り返る。
「アンタいつまでここにいるつもりよ。」
……んな言い方しねぇでもいいだろ。と、思う。
しかし美咲の方からしてみれば、仕方のねぇ事なんだろう。
休日にズカズカと踏み込んだ俺の事、なんて……
拗ねるような思考が止まらないのは、美咲の甘い香りに包まれているからか。
ベッドに身を任せている心地良さに、うっかり寝ちまいそうになる。
「自分の部屋に帰んの、面倒くせぇ……」
「分かるけどさぁ……着替えもないでしょうに……。」
溜息混じりで言う美咲の言葉を頭の中で咀嚼していたら……
良案が浮かんだ。
俺はむくっと起き上がって、彼女ににっこり笑って見せる。
「じゃ、今度荷物持ってくる。」
「は?」
思い切りしかめっ面をした美咲の顔を覗き込んで、首を傾げた。
「俺、この部屋に移っていいか?」
美咲の瞳が一瞬見開いた。
……かと思うと、すぐに鋭くなり、そして大きな大きな溜息を落とされた。
「絶っ対に、イヤ。」
それは、俺の期待を見事なまでに打ち砕く返答。
しかも彼女はそれだけでは終わらないと言ったように、顔を歪めて続けた。
「ホントに嫌。本気で嫌。……あーもぅ、面倒くさいなぁ。早く自分の部屋帰ってよ。」
……そりゃ、言い過ぎだろ。
ご丁寧にしっしっ、と、野良犬でも払うようなジェスチャーまで付けやがった美咲。
それは寝惚けた頭でも理解出来るくらい、キッパリとした、拒絶だった。