第19章 ※特別な休みはお前のせい?
しばらくして、髪を滴らせ、火照った様子の美咲が戻って来た。
机を見て、「あっ」と声を上げる。
「並べておいてくれたんだ?」
「おう。日持ちがいいのは明日かそん次に食えばいいしな。」
「そっか。ありがとう。」
「まぁ、座れよ。」
ポンポン。と、いつものスペースを軽く叩くと、美咲は頷いて静かに近寄った。
机の上に置いてあるミルクをグラスに注ぎ、座る。
彼女はグラスを見つめながら、一瞬何かを考えるような素振りを見せて。
俺に向き直って、首を傾げた。
「えーっと、取り敢えず……いただきます?」
「二回目の、な。」
クスッと笑って、グラス同士をぶつけ合った。
ぐーっと飲んで、飲んで……
そんなに喉乾いてたのかよ、って勢いでグラスを空にして、ぷはーっと息を吐く。
「っ、はー! 生き返った!」
ぎゅっと目を瞑ってイイ笑顔を見せた美咲に、つい吹き出してしまう。
「……お前、酒屋にいるオッさんみてぇだな。」
「うるさいなぁ。アンタも任務中たまにやるでしょ。」
ふん、と軽快に返してくる美咲にまた苦笑。
つい、オッさんとか言っちまってからかってしまった、が。
お前のそういう、気取らないギャップ、好きだわ、俺。
ついさっきまで俺の腕の中で鳴いていた女とは思えない程、リラックスした顔。
任務中のキリッとした表情もいいし、俺に縋り付く甘い瞳も大好物だが、俺はこういう、素の美咲が……
一番好きかも、知んねぇ。
いつも通りの何気ない会話を繰り返し、夜は更けていった。