第19章 ※特別な休みはお前のせい?
『オレ様』
溜息混じりに吐き出された美咲のその言葉に、眉を寄せる。
……そいつは、俺の事か?
お前からは、俺がそう見えるの、か?
自分でもダセェと思うくらい、お前にハマって、右往左往してる……
この俺が?
……暴君、よりはマシだと喜ぶべきだが、軽いノリで近付いてしまった上に、オレ様要素まで追加されちまった。
全然、分かってねぇよ……お前は、ホント。
美咲の勘違いが可笑しくて浅い笑みを浮かべた俺に、彼女は怪訝な顔をした。
が、俺は、「何見てんだよ」なんて可愛げのない台詞を吐く。
彼女は一瞬呆れた顔を見せ、俺に半分に千切ったパンを手渡した。
「もうトロスト区の壁の工事も終わっちまったな。」
バツが悪くて空気を変えようと呟いて、もはや定位置となった彼女のベッドの端に座る。
「早いよね。……ホント、短期間に色んな事があったね。」
美咲が飲み物を注ぎに立ったのを見て、「俺も水」と言う。
「はいはい。」と言う気のない返事を聞いて、窓の外の景色を見つめると、いつの間にかとっぷりと日が暮れていて。
でも、時間はまだ早い。
休日の夜だ、という感じがして、心が弾んだ。