第2章 同期のアイツと憧れのヒト
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普段なら行かない外食。
普段なら遠慮する催し。
弱味を握られた人間に、選択の余地はなくて。
仕方がなく来たんだけれど。
そこには、恋愛経験スキルがまるでない私には、凄くハードルが高い出来事が待っていて。
「酒のグラスはこれか?」
「あ……は、い。」
溜息を吐いたリヴァイ兵長が、私のグラスに手を掛けて……
口を付けて、コクリ。一口飲み込んだ。
「……アルコール度数は高いが、飲みやすいな。」
「え、ぁ……はい。」
かあッと、顔に熱が集まっていくのを感じた。
飲みやすいとか、飲みにくいなんて、生まれて初めて口にしたから。
私にはまるで分からない。
ただ、リヴァイ兵長の横顔が綺麗で、眩しくて、クラクラしてしまう。
まさか、リヴァイ兵長が、こんなに近くに来るなんて……
……間接キス、だ。
なんて、思うよりも。
奪われたグラスからお酒が流れて行く、その喉仏の動きに、見惚れていた。
こんな自分が堪らなく恥ずかしい。