第2章 同期のアイツと憧れのヒト
「……ほう。それは、大層忙しい案件でもあったんだろうな。」
予想に反して、そう言って少しだけ表情が柔らかくなったリヴァイ兵長。
思ってもみなかったその表情に、ギュッと胸が熱くなる。
次もまたよろしくね。と手を振って、ハンジ分隊長と共に視界から消えたリヴァイ兵長への憧れに、胸がドキドキした。
「……飯行くぞ。」
「え?」
今日も、一段とカッコ良かったリヴァイ兵長の姿に、スッカリ隣の男の存在を忘れていたら、頭一つ高い場所から、声が落ちた。
あまにりもその距離が近くて。
慌てて振り返ると、目の前には白いYシャツ。
見上げた先のジャンは、胡散臭い顔で笑っていて。
「お前、普段外食しねぇだろ?兵団の催しくらい、顔出せよ。リヴァイ兵士長だって来るかも知んねぇぞ?」
ジャンの含みを持たせた言葉。
私は、事の重大さに、顔を青くした。
誰にも話していない、憧れのヒトの存在。
絶対、絶ッ対、知られたくなかったのに、意地悪く笑う目の前の男には、多分……
バレてる。
「いや、あの……」
「今日の19時。店はサシャに聞けば分かる。」
否定も、拒否も、何も言えず。
私はヒラヒラと手を振るジャンの、後ろ姿を呆然と見送った。