第17章 ※アイツの約束あの人の秘密
「え、ちょ……ハンジさんっ?!」
「どうしたんだい?」
「あ……いえ、何でも……」
リヴァイ兵長が来るなんて、
聞いてないです……。
小声で隣にいるハンジさんに問おうとして、言葉を飲み込んだ。
彼女は私が抱くリヴァイ兵長への気持ちも知らないし、何をどう言えばいいのか分からない。
まさか、まさか、こんな場で出くわすなんて。
いや、調査兵団の兵士長なんだから、当然と言えば当然なのかも知れない、けど。
俯いてしまった私に、リヴァイ兵長は未だ気付いていない。
ドキドキと鳴り出す胸がただでさえ煩いのに、よりによって空席……つまり、彼の席は私の目の前だ。
どうしよう、どうしよう、普段通りに……
なんて、出来そうに……ない。
考えがまとまらないまま、リヴァイ兵長が私の向かい側の椅子を引いた。
「なんだ?もう新兵器の披露は終わ……」
おずおずと顔を上げた私と、リヴァイ兵長の視線が絡まり、彼は言葉を詰まらせる。
リヴァイ兵長もリヴァイ兵長で、驚きを隠せないような感じに見えるのは気のせいだろうか。
何を言えばいいのか分からないまま、私はとにかく口を開こうとした。
が、声が出る前に、それはリヴァイ兵長によって遮られる。
「おい……。ハンジ、これはどう言う事だ。」
「何が?って、あぁ、美咲の事かい?この件はリヴァイも知っての通り、彼女にも色々と手伝って貰ったからねぇ。無理言って来て貰ったんだよ!」
「……俺はお前には、何も頼んではいねぇはずだが。」
「ははっ!君の件とは全く関係ないから安心してよ!ただ私が彼女と話しをしたかっただけだから!」
「え?」と口に出てしまった私に、ハンジさんは背中をトントン。と、叩いた。
彼女の笑顔が何故かソワソワしていて、若干の疑問が湧いたが、私は緊張から来るただの雑念だと頭を振った。