第17章 ※アイツの約束あの人の秘密
あーもう、仕方がない。
明日はとうとう地獄の処刑人の完成も目前で、解散が早いはずだから、あの日リヴァイ兵長とした約束だけを信じて……楽しみに、ここは何とかやり過ごそう。
そう決め込んだ私は、運ばれてきたサラダに手を伸ばした。
リヴァイ兵長の気が変わっていないなら……約束は、明日。
きっと''あのお店"で、美味しい紅茶を飲んで、いつもと違うご飯を食べる。
あそこの料理、好きなんだよなぁ。
あー、楽しみ。
美味しいご飯はもちろん。
久しぶりにリヴァイ兵長と時間を過ごせる事が、物凄く楽しみだった。
「へぇー!さすがハンジ分隊長。もう、威力は実験済みですか?」
「ふふ〜ん!まぁね!でも、扱いに少しばかり難があるから、使用者は訓練が必要だよ。」
「ハンジさんは無茶し過ぎです。そんなに生き急がないで下さい。」
会は和やかに進み、モブリットさんとハンジさん、そしてこのテーブルにいる上官方の会話が飛び交ってい。
私も、ハンジさんに連れて来て貰った立場上、つまらない顔も出来ないので、形式上には、その輪に入っている。
……と、思う。
間接的に関わったわけだからつまらない訳ではないが、相手が相手なので前のめりに楽しもう、という気合いがない私には、程々の距離で会話に参加している……ような感じ、という、まさに今の状況くらいが丁度いい。
幹事を務めているディルク班長も、同席しているクラース、マレーネ班長も、新兵器完成で表情は明るく、会話も弾んでいるようだった。
「美咲ちゃん。飲み物頼むけど、何かいる?」
「え?」
不意に呼び掛けて来たのはマレーネ班長だった。
突然の慣れない"ちゃん"呼びに目を丸くしていると、彼ははにかむように笑った。
「あ、ごめん。ビックリした?なぁーんか、いきなり呼び捨てってちょっと緊張しちゃって。」
「いえ、あの、逆に"ちゃん"って付けられる事が、あまりないので……」
上官方から呼び捨て以外で呼ばれるなんて、恐れ多い。
……と言う本音は、胸にしまった。
「そうなんだ?イヤだったらやめるけど?」
「あー……、っと。出来れば他の方と同じで、普通に美咲と呼んで下さい。」
おずおずと伝えると何故かマレーネ班長は爆笑。