第17章 ※アイツの約束あの人の秘密
ぎゅうっと握られた手がもう、断る事を許されない空気を晒し出されている。
これ、脅迫って言うんじゃないの?と思いながら。
「……は、い。」
押しに弱い私は、小さく頷かざるを得なかった。
途端に、ぱあっと、更に明るい笑顔を向けたハンジさん。
「良かったぁ!あ、ちなみに明後日を予定してるから、仕事が終わったら空けておいて。」
そう言い残して、「おっと、じゃあ私用事を思い出したから」と音符でも飛ばしてるんじゃないかってくらいの上機嫌で、ハンジさんは書斎から出て行った。
突然の嵐のような出来事に、私は息を一つ吐き、散らかっている書類に目を向ける。
ハンジさんが好きなものを語り出したら大変な事になると分かってはいるが、先日の自分の頑張りが認められて、嬉しく思う。
憂鬱だけど、楽しみ。
何とも不思議な気分だ。
バラバラの場所に散らばっている書類を拾いながら、小さく笑った。