第17章 ※アイツの約束あの人の秘密
カチャリ。
小さくドアを開けて、ハンジさんの書斎の中を確認すると、開いた扉の音に反応して書物から視線を上げる彼女の姿。
「美咲ー!丁度いいとこに来てくれた!」
「はい?」
にっこりと笑うハンジさんを見て、首を傾げながら書斎の中へと入る。
何かまた書類でも頼みたかったのだろうか。
急ぎっぽいものは、今朝全部済ませたはずだけど。
ハンジさんはパタパタと小走りで私の元に来て、強く肩を掴んだ。
「御飯!行こう!今度、ね!」
「えっ?」
キラキラした目を向けてくるハンジさんの勢いに圧されて、上半身が少しのけぞる。
しかしその空いたスペースを詰め寄るように顔を覗き込んだ彼女は、肩から手を離し、私の手を握って言った。
「ようやく改良した武器の試作品が出来たんだよ。その前祝いに、この開発に協力してくれた美咲も一緒に、って。ね!」
「いや、でも……私は開発に直接携わったわけではありませんし。」
困惑を隠せない顔をした私に、ハンジさんはぶんぶんと顔を振った。
「直接も関節もないだろ?美咲が凄く頑張ってくれたから、この開発もスムーズに進んだわけだし、御飯くらいご馳走させてよ。」
そう言いながら、ぐいぐいと前のめりに迫ってくる。
妙に迫力があって、ちょっと怖い。
多分、上手くいっていて興奮しているのだろう。
誰かに自分の研究の成果を聞いて欲しい。と言いたげな様子の、ハンジさんのこのオーラは非常に危険である。
かなり引き気味の私に、ハンジさんは笑顔で言う。
「ね、美咲!行こう!」
「ぁ……いや、えっと……、」
「行くよね!?」
痛いです。
ハンジさん、手、痛いです。