第17章 ※アイツの約束あの人の秘密
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その後、私が部屋を出るタイミングで、ジャンも一緒に部屋を出た。
二人並んで歩くなんか、ちょっと変な感覚がして、誰にも見られていないか警戒しながら廊下を歩いていたけど、幸いまだ誰も部屋から出てくる形跡はなかった。
ジャンは何故か、部屋で一緒に朝食を摂って。
私の準備をひとつひとつ興味深そうに見ていた。
髪を櫛で梳かしながら、上に纏める間もじっと見られてて、鏡を見ながらその視線に気付いていて、何だか落ち着かなかった。
……さすがに着替えの時には近付かせなかったけど。
ジャンと別れて、ひとり、ハンジさんの書斎に向かいながら思う。
なんか、こんなの……
恋人同士みたい。
晩御飯一緒に食べて、抱かれて、寝て、朝食を食べて、一緒に部屋を出て。
訓練兵の時に見た、フランツ達のような……
今までにないパターンに、何故かそわそわした気持ちが湧き上がる。
これまでは、一緒に晩御飯を食べて寝たとしても、朝の時間を二人で過ごしたことは、ない。
そのせいか、私の中では夜の時間をいくらジャンに侵食されても、朝になればリセットされる。
そんな風に感じていた。
そしてそれは、お互いに暗黙の了解みたいなものになっているんだと、勝手に思ってた。
これは、“夜だけの、不思議な関係”だと。
だからこそ、“契約”みたいなものだと思えていたのに。
「……なんか、ルール違反、って言うか……、」
思わず口から溢れた言葉に、苦笑する。
そもそも、ルールなんてないんだけど。
ルールが出来るくらい、真っ当な関係とも言えないし。
小さく溜息を落とすと、もうハンジさんの書斎は目の前で。
こんな気持ちで作業場に入るのは、何だか躊躇した。
……でも、私が部屋から出ないと、あいつ、ずっといそうな感じだったし。
立ち止まって、目を閉じて。
すうっと、大きく息を吸い込んだ。
一度止めて、それからゆっくり吐き出して。
そっと、目を開いた。
「……よし!」
切り替えるようにそう呟いて、気合いを入れ直す。
余計な事は考えない。
今日も1日、頑張らなきゃ。
心の中でそう決意して、扉を開いた。