第15章 ※隠したウソを暴くアイツ
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「お疲れ。」
「お疲れ様。」
部屋に来たジャンが、いつも通り私に食料が入った袋を渡す。
私はいつもより多く入っている中身に、疑問が隠せなかったが、お腹が減っているんだろうと、気に止めなかった。
外は昼間降り出した雨が強くなり、屋根を打つ音が聞こえる。
チラリ。
ジャンを見ると、当たり前のようにいつも座っているベッドに、腰を下ろしていた。
溜息を我慢し、袋の中を確認すると、パンが何故か4つ……。
食べきれるのかな。と疑問を持ちながらも、お水が入った容器を見てからジャンに詰め寄った。
どう見ても袋タイプ、壁外に行く時の、ちょっと飲みにくい入れ物。
「私の部屋になかったら、どうするつもりだったの?……まさか、そのまま飲ませる気じゃないでしょうね?」
ジャンに渡すと、手慣れた手つきでコップに2人分のお水を注いでいく。
「お前の部屋に何があるかくらい、大体分かるだろ。別にごちゃごちゃ荷物があるわけでもねぇのに。」
「げ…それはそれで、何か気持ち悪い……。」
「相変わらず、失礼だよな。お前。」
そう言いつつも、全く気にした様子のないジャンが、袋から一つのパンを取って、半分を私に渡してくれる。
私の部屋に来る場合、ジャンが食べ物を街か食堂まで取りに行き、私が食器類を準備する。という、暗黙の了解になっていた。
ここしばらくは、忙しさの波に飲まれてたし。
こんな風に過ごす事も、なかったなぁ。
ハンジさん……と言うより、まさかリヴァイ兵長からの指名だったなんて。
大好きなパンを口に運びながら、そんな事をぼんやりと思う。
私が忙しい=ジャンや104期、特にエレンは特に忙しいはずだ。
振り分けられている仕事は違うとは言え、体力的な仕事は男の子には沢山あるわけで、
いや、ハンジさんの仕事が落ち着いたから、ちょっとだけジャンの方が多い、と思う。
そう考えると、この部屋で、ジャンと過ごすのは久しぶりだった。
久々だという感覚はもちろんあるけど、それ以上にそんな溝を感じじさせないくらい、ジャンはこの部屋に馴染んでいる。
それはつまり、自分もジャンがこの部屋にいて、一切の違和感を抱かなくなっている、と言うことなんだろうけど。