• テキストサイズ

【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第14章 ※お前のウソはダレのせい?






「……ジャ、ンっ……ジャンっ!」



ドクン。

一際大きな鼓動が全身を駆け巡る。



煽られた、なんてもんじゃねぇ。



自分で言わせた事なのに、ドキドキして浮かれそうになる自分を、止められない。

一度呼んだら、タガが外れたように涙目で「ジャン」と繰り返し呼んでくれる美咲に、俺は優しくキスを落とす。



お前に今、伝ってる熱は。

お前が今、触れている体温は。

お前が今、感じている相手は。

……全部、俺だ。



呼ばれた自分の名前が嬉しくて、目頭が熱くなるのを堪え、俺はそっと呟いた。



「……美咲。」



ピシャン。



暗い室内に、雷の音が響き、不意に美咲と目が合って。

その瞳がまた、揺れたのを見つけた。



心の中で、呼び掛ける。



なぁ、美咲。

俺、少しは、近づけてるか?



お前の身体に。

お前のココロに。



お前の全てに、俺はちゃんと近付けているんだろうか?



何度も、何度も。

肌が触れ合う激しさとは反対に、優しい声色で名前を呼んだ。



その度に、美咲は応えるように「ジャン」と呼んでくれる。

切れ切れになった声でも、ちゃんと。



呼ばれる幸せに突き動かされるように、時折、顔を寄せてキスを落とす。



「……俺には、権利なんてねぇ、よな……。」



呟いた言葉に、返事はない。

当然かも知れない。



暗闇に慣れた目で美咲を見つめると、潤んだ瞳と視線が絡まって。

言いたくても言えない言葉が、頭に浮かんでは、消えていく。



俺は必死になって、美咲の瞳の奥に、見つかるはずのない、恋のカケラを探し続けていた。



閉じる事さえ出来ない様子の彼女の口から、漏れる吐息が、俺の理性を融かしていく。

美咲の温度に流されそうになる現実から抗うように。

……嘘を吐いた。



/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp