第14章 ※お前のウソはダレのせい?
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宣言通り、美咲の部屋に入った俺の手には、調査兵団支給の水とパン。
途中、雨が降って来たため解散が早かったから、街へ出て、わざとライス系の食い物でも買って行こうかとも考えたが、それを見て“あの人”を思い浮かべられたら冗談じゃねぇ。と思ってヤメた。
いつものように、美咲は二人分のコップの準備をしてくれていた。
それだけの事に、何故か安堵する。
まだ終わらずにいられる、と実感出来たからかも知れない。
もう、定位置と化したベッドに腰を下ろし、美咲と並んで1個のパンを分ける。
理想の相手は、気が効く女。
なんて言ってる先輩方の気持ちがよく分かる。
部屋に入って、何かしらの準備がしてあるのは、嬉しい事だ。
それがたった二つのコップであっても。
パンを食う前に、袋タイプの入れ物からの水をコップに注いでいると、美咲が溜息を吐いた。
「私の部屋になかったら、どうするつもりだったの?……まさか、そのまま飲ませる気じゃないでしょうね?」
どうやら、コップの事を言っているらしい。
その質問に、俺は普通に答えた。
「お前の部屋に何があるかくらい、大体分かるだろ。別にごちゃごちゃ荷物があるわけでもねぇのに。」
「げ……それはそれで、何か気持ち悪い……。」
……気持ち悪い、は言い過ぎだろ。
しかも顔、スゲェ引き攣ってるし。
それ、何とかならねぇのか?
……リヴァイ兵長には見せねぇんだろうな。どうせ。
って、何捻くれた事考えてんだか。馬鹿馬鹿しい。
あーあ、マジで。
何の進歩もねぇんだな……俺達。
美咲の物言いに小さく落胆しながらも、何でもない顔をした。
こんなくだらねぇスキルが上達したって、仕方ねぇっつーのに。
「相変わらず、失礼だよな。お前。」
それだけ返し、半分になったパンを齧った。