第11章 距離が縮まるアイツとあの人
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「わざわざ来てもらって、すまない。」
「い、いえ!エルヴィン団長はお忙しい身なので、お気になさらないで下さい。」
整理が終わっている資料だけを持って団長室に入った私を迎えたのは、エルヴィン団長とリヴァイ兵長だった。
団長机に座り微笑むエルヴィン団長と、手前のテーブルに腰を下ろし、紅茶を飲むリヴァイ兵長。
「大変だろうが、よろしく頼むよ。」
柔らかくそう言ったのは、これまでに纏めた資料を片手に持っている、エルヴィン団長だ。
「しかし、こんな物を隠していたとはな……。」
「クソみてぇに自分の事しか頭にねぇ、対人立体起動装置まで作っていやがった連中だ。別に驚く事でもないだろ。」
今、二人が話しているのは、中央憲兵が隠していた兵器の事。
纏めていた資料には、技術改良に繋がるものが数多く存在していて、兵器だなんだと訳が分からない私は、それに昨日まで悩まされていた。
纏めた資料に目を通すエルヴィン団長の目は、ギラギラとする程に真剣なもので、居心地の悪さすら感じる。
まるでそれが日常のように、エルヴィン団長とリヴァイ兵長の二人の会話が進む。
中央憲兵からの情報と照らし合わせ、エルヴィン団長が中心となり、時折リヴァイ兵長が案を出す。
お互いが案を出し、出来るだけいい方に持ち込む。
団長と兵士長の顔をした真剣な二人の話しは、一時間程続いた。
「武器にも改良の余地がありそうだな。」
「その辺は捕まえた憲兵から無理矢理にでも吐かせて、ハンジに頼むしかねぇな。」
「美咲、ハンジの時間が取れ次第、頼めるか?」
「はい!」
慌てて頭を下げる私に、「では、頼んだ。」と言って、エルヴィン団長は手元にある資料を返した。
多分、これは急ぎの案件だろう。
ハンジさんが書斎にいるといいけど。
私は、敬礼をして団長室を後にした。