第10章 揺れた瞳はダレのせい?
横になった途端、美咲は毛布にすり寄り、顔を埋めた。
そのリアクションは、一度、見た事があって。
そう、俺の腕の中で気持ち良さそうに、寄り添って来た時の、あの夜の記憶。
今の美咲と、記憶の中の美咲が重なっただけで、心臓がドクドクと早くなる。
俺は床に膝をつき、美咲の寝顔をまじまじと見つめた。
「……気持ち良さそうに寝るよな、お前。」
よっぽど疲れていたんだろう。
俺がいるから気を遣っているのか、時折必死に目を開けようとする彼女に、ソッと手を伸ばし、頭を撫でる。
「ゆっくり休めよ。大丈夫だから。」
ふわふわじゃれる髪をサラリと撫でると、ふっ、と美咲の表情が緩んだ。
……安心、してくれてるの、か?
まるでそう伝えているような、そんな顔をして瞳を閉じる美咲に。
耐えきれず、唇を重ねる。
ただ、触れただけのキス。
労わるように頬を撫でて。
穏やかな時間が流れる部屋で、俺は何とも言えない気持ちに包まれていた。